西麻布のミシュラン星付きレストラン「レフェルヴェソンス」で腕を磨いた根本理絵シェフが立ち上げたブランド「ka ha na -菓葉絆-」。このブランドはオンラインショップからスタートし、メディアや催事でも注目を集め、今年8月には三鷹に実店舗をオープンしました。その人気はすでに朝から行列ができるほどで、根本さんが手がけるお菓子のファンが多いことが伺えます。彼女の手仕事によるお菓子は、どれも凛としており、独自の世界観がしっかりと構築されています。
三鷹駅から徒歩10分ほどの場所に位置するこのお店には、ファーブルトンやミルリトンといった日本では珍しいフランスの伝統菓子が並ぶ一方で、プリンやシュークリームなど日本の定番スイーツも取り揃えられています。根本さんのフランス料理の経験が活かされた美味しさはもちろん、地域に根ざした温かさも感じられるお菓子屋さんです。季節ごとに変わるラインアップは、旬の果物や素材を使った約20種類のお菓子を提供し、毎日新たな味わいが楽しめます。
店頭の焼き菓子はほとんどが当日の朝に焼き上げられ、フィナンシェは一口で溶けていくような上品な甘みと香ばしさが特徴です。根本さんは「作りたてを届けたくて、実店舗を開きました」と語り、オンラインショップでは難しかった焼きたてのお菓子を提供することに特化しています。特に、フィナンシェはその場で焼き上げた美味しさを楽しむことができ、生菓子も朝に焼いたシュー生地にクリームを詰めたものを並べています。
中でも、タルトタタンは催事でも多くの人を魅了する逸品です。りんごの皮や芯を煮出して作るこのスイーツは、通常捨てられる部分まで活用し、じっくりと低温で焼き上げられたりんごは、口に入れた瞬間に驚くほどの甘みが広がります。ザクザクのパイ生地ととろけるクリームの絶妙なバランスが、忘れられない美味しさを生み出します。
根本さんは、フレッシュな果物だけでなく、季節の素材を組み合わせたお菓子作りを得意とし、レストランでの経験が素材選びにも活かされています。三鷹でお店を開いた理由は、地域にもっとお菓子を届けたいという思いからで、彼女自身がこの地域に住んでいたことも影響しています。物件が決まってからオープンまでの道のりは長かったものの、その間に得た経験を活かして、今後の製造量の増加を考えています。
取材中には、子どもたちが笑顔でお店の前を通り過ぎる姿が印象的で、「ka ha na -菓葉絆-」は多くのスイーツ愛好者だけでなく、地域にも笑顔を届ける存在となっています。