焼き菓子の魅力を探求する中で、スイーツの世界にはまだまだ知らないことが多く存在する。今回、現役パティシエの大澤智弥氏に、フランスのオペラについて伺った。オペラはチョコレートケーキの一種と捉えられがちだが、その実、主役はビターなコーヒーの風味にあるという。世界中にはチョコレートを使ったケーキが数多く存在するが、オペラはその中でも独自の存在感を放つケーキの一つだ。
オペラはフランスを代表する生菓子で、パリの名店「ダロワイヨ」で生まれた。このケーキの特徴は、コーヒーシロップをたっぷり染み込ませたビスキュイジョコンドと、コーヒー風味のバタークリーム、ガナッシュを幾層にも重ねたハーモニーにある。ビスキュイジョコンドはアーモンドが入った生地で、オペラではこの生地にコーヒーシロップをたっぷりと染み込ませ、ティラミスのようなイメージで仕上げられる。
オペラの製作は決して難しいものではなく、家庭でも挑戦することができる。必要な材料を揃え、手順を守れば美味しく作れるという。オペラの本場では、ビスキュイジョコンドとガナッシュが7層にも重なり、完成品にはチョコレートでグラサージュされた上に金箔があしらわれる。これはパリのオペラ座の正面に聳え立つ金のアポロン像を模したものとも言われており、ケーキ一つにも深い歴史が刻まれている。
このように、オペラはただのスイーツではなく、文化や歴史の象徴でもある。スイーツの世界にはまだまだ知らないことがたくさんあり、探求する楽しさが尽きることはない。大澤智弥氏の知識と経験を通じて、焼き菓子の奥深さを感じることができた。これからも新たなスイーツの魅力を発見し、楽しんでいきたいと思う。