焼き菓子の世界には、知られざる奥深い魅力が潜んでいる。今回は、パティシエの大澤智弥氏に「マカロン作りは難しい」という噂について伺った。彼によると、マカロンが特に難しいかどうかは、作り手の思いや手間に対する感じ方によるものだが、確実に言えるのは、マカロンには特別な技術が必要だということだ。
マカロンはその美しいカラフルな外観とサクッとした食感で人気を博しているが、実は非常に繊細なスイーツでもある。大澤シェフが強調するのは、「マカロンづくりの要は見極め」だ。具体的には、メレンゲを泡立てて砂糖やアーモンドプードルを混ぜ合わせる過程で、特に重要なのが「マカロナージュ」という作業だ。この工程は、気泡を均一にするために生地を混ぜるもので、その加減がマカロンの成功を左右する。
マカロナージュが不足すると、焼き上がりの表面がひび割れてしまい、逆にやり過ぎると生地が膨らまず空洞ができてしまう。どちらの場合も、マカロン特有の「ピエ」と呼ばれるヒダヒダが出ないため、見た目にも味わいにも影響を与えてしまう。大澤シェフは、マカロンの完成形を想像してみると、ドーム状の下にあるヒダヒダが重要であることを教えてくれた。
マカロナージュのコツは、生地を垂らしたときにリボン状に落ちることだとシェフは語る。柔らかすぎるとリボンにならず、堅すぎるとボテっと落ちてしまう。ピエがきれいに出ることが、マカロンが上手に焼き上がっている証であるため、マカロナージュは非常に重要であり、同時に難しい作業なのだ。
大澤シェフは、マカロンの周囲のヒダヒダが実はその完成度を示すものであり、見た目以上に重要な要素であると教えてくれた。マカロンを一口で食べてしまうにはもったいない、その美しさと技術を理解することで、スイーツの楽しみ方がさらに広がることでしょう。